財団も発足当時は2人の事務員だけで運営されていました。それでも研究支援事業など精神・神経科学研究の振興に大きな役を果たしてきました。ささやかにスタートした財団ですが、現在では3つの委託事業(司法精神医療等人材養成研修事業、自殺対策のための戦略研究、こころの健康科学研究推進事業)をも担当し、総勢14人の方が働いていると伺っています。財団の発展は目をみはるものがあります。それも、前任の方々の努力があったからだと思います。
私は今まで筋ジストロフィーを中心とした筋疾患の診療・研究に従事してきました。昭和57年から国立精神・神経センターに勤務し、主に筋ジストロフィーの研究を開始しました。私がセンターに赴任した頃は、病気の原因はまったく分かりませんでした。10年後の昭和62年にアメリカボストン小児病院のクンケル博士が、筋ジストロフィーの中で一番重症であるデュシェンヌ型の遺伝子をクローニングされ、ジストロフィンという蛋白が欠損していることがわかりました。翌年、私たちがジストロフィンは筋細胞膜に局在することを明らかにしました。その当時は研究費もほとんどなく、海外に成果を発表する時はボーナスの大半を使用して行っていたことを思い出します。財団があって、研究助成を受けられたら、どれほど勇気づけられるかわからないと思ったことでした。
まだ財団は資金面で十分でなく、十分な研究助成や、広報活動をしているわけではありません。しかし若手研究者への研究費助成金は増加しています。また若手医師、研究者を対象としたセミナーなども助成するようになっています。 財団がその存在価値を示し、ますます発展するように努力させていただくつもりです。
財団法人 精神・神経科学振興財団
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